「GPUがないパソコンやサーバーでローカルLLMは動くのか」。動きます。ただし、載せられるモデルの大きさは、ほぼ計算で決まります。
載せられるモデルファイル ≒ 空きメモリ ÷ 2.4
この2.4という倍率は、GPUなしのVPSで実際に測って出した値です。そしてこの計算を外れた瞬間、速度は段階的にではなく崖のように落ちます。
確認できたこと
- 必要メモリの目安はモデルファイルの約2.4倍。0.5Bのモデル(380MB)で実測930MBだった
- 0.5Bは15.36 tokens/秒で動き、1Bでは0.07 tokens/秒に落ちた。219分の1。段階的ではなく崖
- Ollamaの公式ドキュメントには、必要メモリの記載がない。2026年9月13日に確認した
- 重いのはツールではなくモデル。Ollama本体の常駐メモリは36MBで、Dockerの49MBより軽い
- 先に埋まるのはメモリではなくディスクのことがある。Ollama本体だけで2.1GB
- 商用利用の可否はモデルごとに違う。同じQwen2.5でもサイズによってライセンスが分かれている
この記事の数字には実測値と計算値が混ざっています。 どちらなのかは、その都度書きます。
載るモデルは「空きメモリ ÷ 2.4」で決まる
出発点は、GPUのないVPSで測った1本の実測値です。
モデルファイル 380MB → 実際のメモリピーク 930MB(2.4倍)
さくらのVPS 2Gプラン、Ubuntu 24.04、GPUなし・CPUのみ。qwen2.5:0.5b を載せたときの値です。測定の詳細は2GBのVPSでローカルLLMは動くのかに書きました。
この倍率で逆算すると、載せられるモデルの上限が出ます。
載せられるモデルファイル ≒ 空きメモリ ÷ 2.4
同じ実測から、1Bのモデルが動かない理由も説明がつきます。 1Bのファイルは1,260MB。2.4倍すると約3,000MBが必要になります。そのときの枠は1,200MBでした。入るはずがありません。そして実際に入りませんでした。
倍率が1本のモデルからしか出ていない点は、そのまま弱点です。 0.5B以外では検証していません。
なお、この2.4倍はcgroupの memory.current から取った値で、モデルファイルのページキャッシュを含みます。 「アプリが確保した量」より大きめに出る数字です。余裕を見る方向に効くので、目安としては安全側ですが、そういう数字だという前提で読んでください。
公式のファイルサイズから逆算した早見表
ここから先は計算値です。 各モデルのファイルサイズは2026年9月13日にOllama公式ライブラリで確認した値、必要メモリはそれを2.4倍したものです。
| モデル | 公式のファイルサイズ | 必要メモリの目安(×2.4) |
|---|---|---|
| gemma3:270m | 292MB | 約700MB |
| qwen2.5:0.5b | 398MB | 約960MB(実測930MB) |
| gemma3:1b | 815MB | 約1,960MB |
| qwen2.5:1.5b | 986MB | 約2,370MB |
| llama3.2:1b | 1.3GB | 約3,120MB |
| qwen2.5:3b | 1.9GB | 約4,560MB |
| llama3.2:3b | 2.0GB | 約4,800MB |
| gemma3:4b | 3.3GB | 約7,920MB |
実測と一致しているのは2行目だけです。 他は倍率からの計算で、私は確かめていません。
空きメモリ別に並べ替えると、こうなります。
| 空きメモリ | 載る見込みのモデル | 検証状況 |
|---|---|---|
| 1.4GB前後 | gemma3:270m / qwen2.5:0.5b | 0.5Bのみ実測済み |
| 3GB前後 | gemma3:1b / qwen2.5:1.5b | 未検証 |
| 5GB前後 | llama3.2:1b / qwen2.5:3b | 未検証 |
| 8GB前後 | gemma3:4b | 未検証 |
「空きメモリ」は搭載メモリではありません。 OSと、すでに動いているものが使っている分を引いた残りです。2GBのVPSでも、OSのデーモンだけで50〜100MBを持っていきます(43時間の計測で確認しました)。
速度は段階的に落ちない。崖から落ちる
ここが、この計算を守るべきいちばんの理由です。
| モデル | ファイル | メモリピーク | 生成速度 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| qwen2.5:0.5b | 397MB | 930MB | 15.36 tok/s | 動く |
| llama3.2:1b | 1.3GB | 1,201MB(上限) | 0.07 tok/s | 実用不可 |
| qwen2.5:3b | 1.9GB | — | — | 落ちた |
0.5Bから1Bに上げただけで、219分の1になりました。9トークンの返事に3分かかっています。
「少し重くなる」ではありません。枠を超えた瞬間、メモリとスワップの間でページを出し入れし続ける状態になり、実用の範囲から一気に外れます。そのときのI/O待ちは最大86%でした。
つまり、目安を少し超えるくらいなら大丈夫、という読み方はできません。 超えたら使えません。
Ollamaの公式ドキュメントに、必要メモリの記載はない
ローカルLLMの解説記事を10本ほど見ると、ほぼすべてがVRAMの容量別にモデルを振り分けています。8GB VRAMならこれ、16GBならこれ、という形です。
なぜCPUの話が出てこないのか。公式に書いていないからです。
2026年9月13日に確認した範囲では、Ollamaの公式ドキュメント(FAQ)に必要RAMの節はありません。 メモリに関連する記載としてあるのは、次のようなものです。
ollama psが、モデルをどこで動かしているかを100% GPU/100% CPUまたはその中間として表示する- 必要RAMは
OLLAMA_NUM_PARALLEL×OLLAMA_CONTEXT_LENGTHに応じてスケールする
「100% CPU」という表示が公式に用意されていること自体が、CPUだけでの動作が想定内であることを示しています。一方で、では何GB要るのかは、公式には書かれていません。
GitHubのREADMEについては、断定を避けます。 以前は必要RAMの記載があったと記憶していますが、2026年9月13日時点のREADMEからは該当箇所を確認できませんでした。「削除された」と書けるだけの確証がないため、ここでは「現時点では見つからなかった」とだけ書きます。
書かれていない数字を埋めるために、解説記事はGPUベンダー側の表を持ってくることになります。その表は、GPUがない環境には使えません。
「動く」ことと「使える」ことは違う
0.5Bは15 tokens/秒で動きました。ただし、出力はこうでした。
日本の首都は东京です。
「東京」が簡体字の「东京」になっています。 中国語圏で作られた小型モデルなので、日本語の中に簡体字が混ざります。
同じ質問に対して、1Bのほうは正しく「東京」と返しました。品質は上がっています。速度が実用外なだけです。
CPUだけの環境では、この「品質は足りているが遅すぎる」と「速いが品質が足りない」の間に挟まれます。 メモリを増やす以外に、この挟み撃ちから抜ける方法はありません。
用途で言い換えると、こうなります。
- 分類・抽出・短い要約なら0.5Bクラスでも実用範囲
- 日本語の文章を生成させるなら0.5Bでは足りない
重いのはツールではなくモデル
「AIツールはメモリを食う」という言い方をよく見ますが、実測すると逆です。
| 常駐メモリ | |
|---|---|
| Ollama本体 | 36MB |
| Docker(dockerd + containerd) | 約49MB |
| n8n | 402MB |
| Dify(16コンテナ) | 2,076MB |
Ollamaのデーモンは、Dockerより軽い。 モデルを止めればメモリはすぐ戻ります。使っていないときのコストはほぼゼロです。
重いのはモデルです。ツールを選び直しても解決しません。
先に埋まるのはディスクのことがある
メモリばかり見ていると足をすくわれます。
- Ollama本体だけでディスク2.1GB。 CPUしかない環境でも、GPU用のライブラリを含めて配布されるためです
- ここにモデルが積み上がります。3つ入れた時点で3.4GBでした
2GBのVPSでディスクが20GBというような構成では、メモリの上限より先にディスクが問題になることがあります。 特にDockerを同居させている場合は、消したつもりで消えていない領域が積み上がります。
商用利用:ライセンスはモデルごとに違う
同じシリーズでもサイズによって分かれます。 Ollama公式ライブラリの記載(2026年9月13日確認)です。
| モデル | ライセンスの記載 |
|---|---|
| Qwen2.5 | 3Bと72B以外はApache 2.0。3Bと72BはQwenライセンス |
| Gemma 3 | Gemma Terms of Use |
| Llama 3.2 | ライセンス名を確認できませんでした |
Qwen2.5の原文はこうです。
all models except the 3B and 72B are released under the Apache 2.0 license, while the 3B and 72B models are under the Qwen license.
「オープンソースだから自由に使える」とは限りません。 商用で使うなら、使うモデルのライセンス原文を読んでください。ここに書いたのは、あくまでOllamaのライブラリページに書かれていた内容です。
Llama 3.2については、Ollamaのライブラリページからライセンス名を確認できませんでした。 推測で埋めません。
この記事が書けなかったこと
- 2.4倍という倍率は、モデル1本(qwen2.5:0.5b)の実測から出したものです。 他のモデルでは検証していません
- 早見表の「未検証」の行は、計算値です。 3GB・5GB・8GBの環境では測っていません
- GPUがある環境とは比較していません。 この記事の数字はすべてCPU推論のものです
- 量子化の違いは扱っていません。 Ollamaの既定の量子化のままで測った値です
- Ollamaの必要メモリについて、「公式が意図的に書いていない」とは書けません。 確認できたのは「見つからなかった」ことだけです
出典
- Ollama公式ライブラリ qwen2.5 / gemma3 / llama3.2(モデルのファイルサイズとライセンス記載、2026年9月13日確認)
- Ollama Docs FAQ(
ollama psの表示、RAMのスケール、2026年9月13日確認) - 実測値は当サイトの測定による(さくらのVPS 2Gプラン / Ubuntu 24.04 LTS / GPUなし)
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